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明治27年に生まれ、大正、昭和を生きた女性・森田たま。彼女が随筆に綴ったのは、日々のあれこれ、大好きな着物のこと、多くの知人たちとの交流・・・。

森田たまの文章は、
「黄八丈のしつくり似合ふ女は、さうやたらにはゐないやうである。渋いやうで案外派手で、粋なやうでそのくせ品があつて(略)品のよい中に一点しどけないところがあり、人の心をかきみだす着尺である(『絹の随筆』)」等、好きな着物についてのものはもちろん、日本の豊かな四季をしみじみ感じさせる随筆や、竹久夢二の千代紙に夢中だった明治・大正の女の子の生活など、癖がなくって読みやすい。

himo.jpg(2326 byte)あ、いいなと思う何気ないエピソードが、いっぽんパシンと筋の通った知性と、女性らしい視点でもって語られています。

そして、なによりも、一番最初の『もめん随筆』から、最後の著書となる『きもの歳時記』まで、森田たま自身が自分の好きな着物柄でつつんだ“かあいらしい”装幀も見逃せません。この、なんともいえない“かあいらしさ”も森田本の大きな魅力です。

今回は、『いろは』創刊号で紹介しきれなかった森田本をできるだけ取り上げました。森田さんの本は(随筆集というのもあり)、最初のページからきちんとしゃちほこばって読むよりは、適当に開いたページや自分の好きな章から読み進めるのにぴったり。

秋の夜長、お菓子とお茶をかたわらに、着物柄の一冊を開いてみてはいかがでしょう。



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もめん随筆
森田たま
中央公論社/昭和14年重版
箱隅痛み・日焼け古本シミ有
order number :MO-1
SOLD OUT


森田さんの初随筆集。随筆家としてデヴューするきっかけとなった一文「着物・好色」の他、夏の浴衣姿の思い出を綴った「絹もすりん」、尾張町の角のライオンで食べたひき茶と苺と盛りわけにしたアイスクリームのことなど、好きな食べ物について書いた「木の芽」、佐野繁次郎とのやりとりを紹介した「木綿のきもの」などなど、短くて味のある随筆が収録されています。なかには、内田ヒャッケンに連れられて芥川龍之介を訪ねた際のことを記した「芥川さんのこと」も有。緑色の絞りの函と紅と白の市松模様の本体装幀の組み合わせが、おもわず息をのむ“かあいらしさ”。390p。単行本サイズ。ハードカバー。現在、絶版。

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もめん随筆
森田たま
大地書房/昭和22年初版
日焼け・古本シミ・少痛み
order number :MO-30
SOLD OUT


『いろは3号』で取り上げた、猪熊弦一郎・画の猫検印紙のついた大地書房版『もめん随筆』。森田さんが随筆家としてデヴューするきっかけとなった着物についての一文「着物・好色」の他、夏の浴衣姿についての思い出を綴った「絹もすりん」、尾張町の角のライオンで食べたひき茶と苺と盛りわけにしたアイスクリームのことなど好きな食べ物について書いた「木の芽」、佐野繁次郎氏が書いた についての「木綿のきもの」などなど、短くて味のある随筆が収録されています。なかには、内田ヒャッケン氏に連れられて芥川龍之介を訪ねたた際のことを記した「芥川さんのこと」も有。356p。タテ17.8・ヨコ12.5センチ。ソフトカバー。現在、絶版。

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続もめん随筆
森田たま
中央公論社/昭和17年重版
函少痛み・本体古本シミ有
order number :MO-2
SOLD OUT


こげ茶色の麻の葉紋の函に、ちょっと赤みがかった十字絣の本体装幀が渋い『続もめん随筆』。大阪の町を当時ハイカラで食べ慣れなかったトマトに例えた「大阪の女について」、きものを持って質屋に行き宇野千代と吉屋信子に出会った夢を書いた「家計簿」、大阪郊外の千里山に暮らしていたときのことを記した「銀行さん」などなど。夢のなかの宇野さんが、明るい橙色の着物に、うす桃いろの絵羽羽織をかさねて着ていて羨ましくて仕方なかったこと等、着物についての文章も相変わらずすてきです。325p。単行本サイズ。ハードカバー。現在、絶版。

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続もめん随筆
森田たま
大地書房/昭和22年初版
古本シミ有・少痛み
order number :MO-29
SOLD OUT


『いろは3号』で取り上げた、猪熊弦一郎の描いた猫検印紙(かわいいです)のついた大地書房版『続もめん随筆』。大阪の町を当時ハイカラで食べ慣れなかったトマトに例えた「大阪の女について」、きものを持って質屋に行き宇野千代さんと吉屋信子さんに出会った夢をみた「家計簿」、大阪郊外の千里山に暮らしていたときのことを記した「銀行さん」などなど。夢のなかの宇野さんが、明るい橙色の着物に、うす桃いろの絵羽羽織をかさねて着ていて、羨ましくて仕方なかったこと等、着物についての文章も収録されています。ちょっと赤みがかった十字絣の本体装幀が渋です。325p。単行本サイズ。ハードカバー。現在、絶版。

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随筆貞女
森田たま
中央公論社/昭和16年重刷
函付・古本シミ
後ろ見返しに記名等書込有(和裁女子専門学校家政科など)
order number :MO-3
(SOLD OUT)


ある日、森田さんの家の女の子が箱根から帰る小田急の汽車の中で、この『随筆貞女』を読んでいる女性を目にしたそうです。水浅黄地(灰色がかったうすい水色)にたった一筋、朱の縞の入ったうすものを着て、朱とクリームの水引の帯〆を付けていたその女性の姿は「膝にのせた随筆貞女の装幀と、実にぴつたりあつてゐて、白い無地に銀で鏡を刷り出した本の表紙が、何か一つの装飾品のやうに、美しく身にそうて眺められた(『随筆竹』より)」そう。そんな趣のある、すてきな光景が思い浮かぶ装幀です。『もめん随筆』がどうやってヒャッケン先生の命名となったか、の誕生秘話や、宇野さんの雑誌『スタイル』に寄せた着物への愛情あふれる一文も有。331p。単行本サイズ。ハードカバー。現在、絶版。

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随筆きぬた
森田たま
中央公論社/昭和17年重版
函付・古本シミ有
order number :MO-4
SOLD OUT


とても“かあいらしい”装幀の『随筆きぬた』。水浅黄色の小菊小紋の函と黄色と黒の格子柄の意外で絶妙な組み合わせに惚れ惚れします。「渋いようで案外派手で、粋なやうでそのくせ品があつて(略)品のよい中に一点しどけないところがあり、人の心をかきみだす着尺」である黄八丈について語った文章や、宇野千代・吉屋信子と恋愛話を語った会のこと、『もめん随筆』を刊行した時に野上弥生子からもらった手紙を引きあいに自分の着物の好みについて語った文章など、しっとりとした随筆が並びます。1937年から始まった日中戦争の影響で(初版は1938年)、戦時色の感じられる文章も有。329p。単行本サイズ。ハードカバー。現在、絶版。

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随筆竹
森田たま
中央公論社/昭和14年初版
箱少痛み・少日焼け有
order number :MO-5
SOLD OUT


紺地にちっちゃい竹の模様が白く染めぬかれた函が清新な『随筆竹』。宇野千代が戦争になると流行るという「きりつとして、しかも色気がある」矢がすり模様をハイカラに着ていたことを綴った「矢がすり」、自分の装幀用にあつめたさまざまな紙見本などが入っている箪笥について書いた「わが部屋」、10才そこそこの幼い頃に文通を交わしていた吉屋信子さんとのエピソードを記した「吉屋さん」など。なかには、秋の読書とその楽しみについて綴った「秋の読書」なんていう文章もあってうれしい。322p。単行本サイズ。ハードカバー。現在、絶版。

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石狩少女
森田たま
実業之日本社/昭和15年初版
Good
order number :MO-6
(SOLD OUT)


題名の『石狩少女』は「いしかりをとめ」と読みます。札幌で生まれた森田さんらしい題名の少女小説。物語の主人公・悠紀子は回りの女の子よりも大人びた文学少女。賢いうえにどこか魅力がある悠紀子に心を寄せる、東京の帝大生・一郎。彼女の賢さを認めて励ましてくれる英語の教師・土屋先生。しかし、悠紀子には親が決めた許婚がいて・・・。文学の好きな女の子が自分の意思を持って生きる姿を描いていて、面白い。森田さんの随筆にでてくる幼い頃のエピソードがちらちらと折りこまれていて、そちらも楽しいです。(本全体にもともとパラフィン紙がかかっているので画像では表紙が見にくくなっていますが、とてもきれいな状態です)268p。単行本サイズ。ソフトカバー。現在、絶版。

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石狩少女(いしかりをとめ)
森田たま
実業之日本社/昭和15年重版
表紙パラフィン紙欠・扉に蔵印有・少古本シミ有
order number :MO-39
price : ¥2310


物語の主人公・悠紀子はまわりの女の子よりも大人びた文学少女。賢いうえにどこか魅力がある悠紀子に心を寄せる、東京の帝大生・一郎。彼女の賢さを認めて励ましてくれる英語の教師・土屋先生。しかし、悠紀子には親が決めた許婚がいて・・・。文学の好きな女の子が自分の意思を持って生きる姿が描かれているのが面白い。森田さんの随筆にでてくる幼い頃のエピソードもちらちらと折りこまれていて、そちらもまた楽しいです。札幌で生まれた森田たまの自伝的少女小説。268p。単行本サイズ。ソフトカバー。現在、絶版。

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随筆歳時記
森田たま
中央公論社/昭和16年重刷
函古本シミ・表紙スレと痛み・本体Good
order number :MO-7
(SOLD OUT)


佐野繁次郎のカットが各文章の扉に使われた『随筆歳時記』。巴里の佐野さんから「『もめん随筆』を読んだら自分の名前がでていて一寸なつかしかった」ともらった絵葉書のこと、上海に旅行したときの見聞録、黒い髪に似合う紫の色のことなどが、1月から12月まで順に並んだ文章に収められています。他の森田さんの本よりも、心持ち大きめのサイズのせいか、使われているフォントのサイズも大きめ。活版印刷のきれいな文字が楽しめます。また、墨一色で描かれた佐野さんのカット(写実的です)のサインが漢字の「繁」なのも珍しい。こちらは函付きのハードカバー・バージョンですが、函なしカバー付のソフトカバーのものもあります。253p。単行本サイズ(タテ22・ヨコ15.7)。ハードカバー。現在、絶版。

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随筆歳時記
森田たま
中央公論社/昭和18年重版
Good
order number :MO-8
SOLD OUT


>佐野繁次郎のカットが各文章の扉に使われた、函なしカバー付バージョンの森田たま『随筆歳時記』。巴里の佐野さんから「『もめん随筆』を読んだら自分の名前がでていて一寸なつかしかった」ともらった絵葉書のこと、上海に旅行したときの見聞録、黒い髪に似合う紫の色のことなどが、1月から12月まで順に並んだ文章に収められています。もちろん、内容&佐野繁次郎のカットは、函付バージョンと一緒。本体とカバーの装幀が違うので、カバーを取ってお楽しみ下さい。
他の森田さんの本よりも、心持ち大きめのサイズのせいか、使われているフォントも大きめ。活版印刷のきれいな文字が楽しめます。また、佐野さんのカットは、墨一色の写実的なもの。サインに漢字の「繁」が使われているのも珍しい。終戦の2年前の発行です。253p。単行本サイズ(タテ22・ヨコ15.7)。ソフトカバー。現在、絶版。

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招かれぬ客
森田たま
文潮社/昭和23年初版
少古本シミ有
order number :MO-9
(SOLD OUT)


森田さんの短篇小説集。「ととやの茶碗に、ねっとりとクリームのやうによく泡立つた緑色の液体が、かすかにゆらいでいる」から始まる表題作「招かれぬ客」は、関西の実業家の長女・美津子の境遇が語られる物語。その他に、上海の船会社の経営者・松本と彼の妻・千枝子、そして松本の恋人麻子を描いた「霞飛路の女」、前の夫との間にできた女の子と今の夫との変わり映えのない生活を淡々と描いた「うぐい」などなど、どこか陰がある女性が主人公の物語が並びます。妾や家といった風習が珍しくなかった時代の女性が感じる行き場のない思いが丁寧に描写されたお話は(短いのもあって)ついつい読んでしまいます。全部で6篇を収録。247p。単行本サイズ。ソフトカバー。現在、絶版。

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針線余事
森田たま
中央公論社/昭和17年初版
箱角少傷み少汚れ・本体古本シミ
order number :MO-11
SOLD OUT


ピンク・赤・黄色のストライプが入った本体装幀がとっても“かあいらしい”一冊。森田さんは、一番最初の随筆集にほんとうはこの『針線余事』という題名をつけたかったそう。『針線余事』とは「針仕事の合間に」という意味。すてきな題名です。本書には、箱根のホテルに滞在していた時に会った古川緑波・西条八十・横光利一氏のこと、百ケン先生の言葉遊びの話、純白のしゃれたエプロンの紐を背中で大きな蝶々のように結んでいた「女給仕」がいた銀座の喫茶店での昼下がりなどが、綴られています。中谷宇吉郎の描いた「針仕事」を連想させるしみじみとした扉もいい感じ。281p。単行本サイズ。ハードカバー。現在、絶版。

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はるなつあきふゆ
森田たま
錦城出版社/昭和18年初版
Good
order number :MO-12
SOLD OUT


波紋の小紋の函に薄紅色の菱形文様の本体表紙がしっとりやさしい『はるなつあきふゆ』。背表紙に書いてある題字が、一文字づつ、まあるい灰色の円で囲まれているのも味があります。銭湯で偶然出会った、のちに夫となる青年と一緒に訪問した高村光太郎氏のお宅のこと、大阪郊外の千里山に住んでいた時、夫の裏切りのため東京に帰りたいと一心に思いつめたことなどが、森田さんらしい眼で語られる随筆集です。戦中に出版されたものなので、本の重さがとても軽い。ふわっと持ち上げられます。各扉に中谷宇吉郎さんの絵がほどこしてあって豪華です。251p。単行本サイズ。ハードカバー。現在、絶版。

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婦女読本
森田たま
生活社/昭和18年重版
少古本シミ有
order number :MO-13
(SOLD OUT)


こちらは佐野繁次郎さんが戦中に『すまひといふく』など、のちの『暮しの手帖』のモデルとなった一連の婦人シリーズを出していた出版社・生活社から出た一冊。見返しの緑色の菖蒲葉文様が、モダンで素敵。ちなみにこの見返しの菖蒲の葉文様は、生活社の他の本でも色違いで使われています。内容は、国威掲揚っぽい本が多かった生活社らしく、多分に戦中の色彩が濃い随筆。戦争の色が濃くなるなか「女性とはいかにあるべきか」を説いた文章などが収録されています。この本の検印は、“かあいらしい”というよりは、かっこいい!226p。単行本サイズ。ハードカバー。現在、絶版。

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菜園随筆
森田たま
大地書房/昭和22年重版
少古本シミ・日焼け有・猪熊猫検印紙付
order number :MO-14
SOLD OUT


終戦直後の慌しい世相を垣間見ることのできる森田たまの随筆集。森田家に出入りするようになった進駐軍の青年たち。彼らの伝える自由な空気を、森田さんは驚きと感動、そして少々の戸惑いをもって綴っています。「好きな言葉“ほのぼのと”“ふつくらと”“ねんごろになる”」など、ちらりと見える潤いも愛しい。格子柄のソフトカバーの装幀です。検印紙は『いろは』3号で取り上げた猪熊源一郎画の猫検印紙。268p。単行本サイズ。ソフトカバー。現在、絶版。

菜園随筆
森田たま
大地書房/昭和22年再版
猪熊猫検印紙付・少古本シミ
order number :MO-35
SOLD OUT


終戦後の慌しい世相を垣間見ることのできる森田たまの随筆集。森田さんの家に出入りするようになった進駐軍の青年たちが伝える自由な空気を、驚きと感動、そして少々の戸惑いをもって綴ってしています。そんななかでも「好きな言葉“ほのぼのと”“ふつくらと”“ねんごろになる”」など、ちらりと見える潤いが愛しい。格子柄のソフトカバーの装幀です。検印紙は『いろは』3号で取り上げた猪熊源一郎画の猫検印紙。268p。単行本サイズ。ソフトカバー。(この本は版によって表紙の題字色紙部分が違います)現在、絶版。

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随筆苔桃
森田たま
共立書房/昭和24年初版
日焼け・小口古本シミ
order number :MO-14
SOLD OUT


札幌で過ごした子ども時代に始めて食べた「オムレツとカツレツとシチウ」の西洋料理の味、「柿よりももつと紅い、きれいなくだもの」トマトをはじめて知ったときの話、終戦後に過ごした北鎌倉での毎日、幼い頃からの読書遍歴、自宅が火事に遭った際のこと、森田家の家計の話…。何気ない日々の出来事を、柔らかだけれどうちに潜む芯の強さを感じさせる文体で綴った森田さんの随筆集。白地にうすみどりの花の絵が踊る表紙も趣があります。旧字旧仮名遣い。252p。単行本サイズ。ソフトカバー。現在、絶版。
※戦後すぐの本なのでもともとの紙質があまりよくありません。ご了承ください。

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今昔
森田たま
暮しの手帖社/昭和26年発行
函少ハガレ&見返しに直筆献辞署名有
order number :MO-15
SOLD OUT


真ん中に緑色の紙で題字が貼ってあるだけの函。本体の濃い紅色と並べると、その緑色がぽっと映えます。本体表紙の白く染めぬかれた模様も“かあいらしい”。「ほんのちらりと、袖口とふりにだけ見える長じゅばん」の楽しみを綴った文章は、いかにも森田さん。自分の装幀で使った模様を長じゅばんに染めぬいて楽しんでいる話などが紹介されています。抹茶色(函の緑と一緒の色)の見返しもすてき。本書には、森田さん直筆(毛筆)の献辞署名有。あて先は、本文中に登場する湯川秀樹博士夫人。266p。単行本サイズ。ハードカバー。現在、復刊新装版が1680円。

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きもの随筆
森田たま
文藝春秋新社/昭和29年再版
函付・少古本シミ・背角痛み有
order number :MO-16
SOLD OUT


着物好きな森田たまの一冊、その名も『きもの随筆』。幼い頃、当時の東京の女学生の普段着だった銘仙に感じた抱いた憧れや西と東で違う銘仙の位置について書かれた章のほか、内田ヒャッケン先生や、高村光太郎夫妻、田村俊子などとのエピソードも多く記されて十分楽しめます。「縞のいろいろ」と「立粋」「かつをじま」など縞をイラストで説明したものも有。254p。単行本サイズ。ハードカバー。現在、絶版。

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ヨーロッパ随筆
森田たま
宝文館/昭和30年重刷
函痛み&少ハガレ・本体古本シミ有
order number :MO-17
(SOLD OUT)


本書は「ヨーロッパ随筆」だけあって、ちょっと変わった装幀。あとがきによりますと「外箱の水いろ地に紅い縞は、丁抹(デンマーク)でもらつた百五十年前のものだといふ毛織生地を写しました。表紙はローマで買つたサルジニア島の手織りの卓センターです」とのこと。内容は、題名が表すようにヨーロッパへ旅した際のあれこれを綴った随筆集。五ヶ月で13カ国を回った際のこと(もちろん、着物で回ったそうです)や、帰国してから感じたことなどがまとめられています。森田さんは当時60才。明治生まれで着物が普段着の女性のヨーロッパ見聞録としてもおもしろい。238p。単行本サイズ。ハードカバー。現在、絶版。

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ふるさと随筆
森田たま
宝文館/昭和30年初版
Good
order number :MO-18
(SOLD OUT)


「装幀の、箱と表紙は、いづれもペン大会(ヨーロッパで行われた国際ペン大会)の時に着た、着物のがらをとりました」という、『ふるさと随筆』。ヨーロッパに行って、外に向いた眼をうちにむけて、自分の生まれたくにの随筆を出そうと出版されたものだそう。それもあって、外国に出かけて気がついた日本のよさについて多くのページが割かれています。「暑い夏の午後、ひるねの夢からさめて、さつぱりと顔を洗つて、冷えてゐる白玉をたべたときの涼しさを忘れられない」など、森田さんの書く四季折々の光景は、ほんと心にしみます。302p。単行本サイズ。ハードカバー。現在、絶版。

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随筆ふるさとの味
森田たま
講談社ミリオンブックス/昭和31年重刷
Good
order number :MO-19
(SOLD OUT)


この本の装幀に使われているのは、なんとザリガニ模様!ストックホルムの公使夫人からもらったテーブルクロスの模様を参考にしたとか・・・(ザリガニは、スウェーデンでは日本の六月の鮎同様、夏の風物だそうです)。内容は、森田さんが食べ物について書いたものをまとめた食べ物随筆。「マシマロ」「タコ」「秋の味覚」「故郷の味」「さくら餅」「もみぢ葉」「もろきう」「木の芽」など、題名だけでもおいしそう。252p。新書サイズ。ソフトカバー。現在、絶版。

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柳の芽
森田たま
美和書院/昭和31年初版
Good
order number :MO-20
SOLD OUT


薄い水浅黄色の本体がきれいな随筆集『柳の芽』。口絵には森田さんの写真がモノクロで載っています。びろうどの鼻緒が一番いい。足袋が切れないで、長持ちする。女の鼻緒はこれにかぎる、と好きな鼻緒について書いたかと思えば、風もなく蒸されるような夏の日、ようやく暮れてきて、ほっとすだれをまきあげ、庭に打水をする。ゆあみして、ほどよく糊のきいた浴衣を着、うちわ片手に縁先に出ていく、など日本の昔ながらの風景を、しっとりと落ち着いた口調で綴る文章がうれしい。本体装幀と同じような、奥ゆかしい(でも、芯は強い)彼女の文章が楽しめる一冊。253p。単行本サイズ。ハードカバー。現在、絶版。

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ゆき
森田たま
美和書院/昭和31年初版
函付・Good
order number :MO-21
(SOLD OUT)


中谷宇吉郎氏から送られた雪の結晶の絵を古代紫地の帯に染めた森田さん。本書の本体装幀は、その帯の写しを使ったものだとか。まっしろな函に入ったままでは、こんな装幀が本体にほどこされているなんて思いもよらず、引き出してみてびっくり。鮮やかな紫とピンクが初々しい雰囲気を醸し出しています。茶の湯の席での着物について、ほおづきを口にふくんで楽しむかすかな音いろについて・・・62才を迎えてますます円熟味を増した森田さんの随筆集です。253p。単行本サイズ。ハードカバー。現在、絶版。

dai-1.jpg(8923 byte)第三の火
森田たま
大日本雄弁会講談社/昭和33年初版
少古本シミ
order number :MO-28
(SOLD OUT)
森田たまさんは、随筆の他に小説もいくつか書き残しています。本書は、そのなかの一つ『第三の火』。主人公は、ニ号さんだった芸者の母が亡くなり、父に引き取られた、滝村くめ子。美しい彼女に求婚してきた大会社のあとつぎ・磯川陽一、父の二号で怪しい魅力の蒲原ちゑ子、姉の婿でうさんくさい男・忠正、そしてくめ子が心の底で想う南郷光男の・・・様々な登場人物が、大阪、東京、東海村といろいろな場所でくりひろげる物語に、くいくいと引きこまれます。文中にでてくる大阪弁は、大阪に住み、大阪生れの旦那さまを持つ彼女ならでは。装丁は、鈴木義治さん。374p。新書サイズ。ソフトカバー。現在、絶版。

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待つ
森田たま
文藝春秋新社/昭和34年初版
函角少日焼け
order number :MO-22
SOLD OUT


森田さんの20冊目の随筆集。森田さん自身の手によるカット(雑誌の絵入り随筆の連載から載せたものだそう。サインは「Tama」!)が、随筆とともに収められています。昔、高くて買えなかった絣お召を30年たってもなお思い出す女心。冬、熱いほうじ茶を入れてお茶うけに楽しむ麩嘉の麩まんじゅうのおいしさ。日々の何気ないことに目を配り、丹念にすくいあげていく森田さんの文章が並んでいます。口絵には伊東深水の描いた森田さんの絵も有。269p。単行本サイズ。ハードカバー。現在、絶版。

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絹の随筆
森田たま
講談社/昭和37年重刷
函付・Good
order number :MO-23
SOLD OUT


竹久夢二の小物を売っていた「みなとや」に行って、千代紙や半えりを買い、後年、その千代紙をお手本に「若くさいろの地に、白とピンクで櫻草を染め出した羽二重」などいろいろな帯を染めてもらったことなど、大正・昭和の女子の生活を彷彿とさせる随筆が収められた一冊。鴨居羊子さんの下着ショウを見た時のことや、岡本かの子さん・長谷川時雨さんのお洒落についても語られています。橙色の函に、ぱきっとした黄色の本体表紙も鮮やか。275p。単行本サイズ。ハードカバー。現在、絶版。

絹の随筆
森田たま
講談社ミリオンブックス/昭和38年初版
Good
order number :MO-50
SOLD OUT


竹久夢二の小物を売っていた「みなとや」に行って、千代紙や半えりを買い、後年、その千代紙をお手本に「若くさいろの地に、白とピンクで櫻草を染め出した羽二重」などいろいろな帯を染めてもらったことなど、大正・昭和の女子の生活を彷彿とさせる随筆が収められた一冊。鴨居羊子さんの下着ショウを見た時のことや、岡本かの子さん・長谷川時雨さんのお洒落についても語られています。講談社のミリオンブックスシリーズの新書版。276p。ソフトカバー。現在、絶版。

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をんな随筆
森田たま
講談社/昭和37年初版
函付・少古本シミ有・1pページ折目&傷み有
order number :MO-24
SOLD OUT


「壷井栄さんは結城党だし、佐多稲子さんは琉球がすりがよい。宇野千代さんは綸子やちりめんのようなドレッシイなものを好んで、それがまたよく似合ふ」などなど、お年を召してますます募る着物への想いが随所にみられる一冊。着物が身近だった頃のあれこれを知るには、森田さんの随筆!と思わせる文章がたっぷり。その他にも、集めたマッチにまつわる思い出、ヨーロッパの行く先々の町で買った「銀の匙一本」「子供の絵本一冊」「トランプのカード一組」のことなども綴られています。256p。単行本サイズ。ハードカバー。現在、絶版。

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としまえず
森田たま
講談社ロマンブックス/昭和37年初版
Good
order number :MO-25
(SOLD OUT)


美術評論家の今村夫人・その子は、夫との冷たい結婚生活に満たされず、新進オペラ歌手・俊吉に好意を寄せる。そこに、娘・けい子の友人・千枝と恋愛関係になった謙介とその妻・とも子の騒動がからみ・・・。題名の「としまえず」とは、30過ぎの「年増」女性が、人生を楽しもうと集まった会の名前。森田さんの筆によって、女性の心理が切々と描かれています。273p。新書サイズ。ソフトカバー。現在、絶版。

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ぎゐん随筆
森田たま
講談社/昭和39年初版
函付・少古本シミ有
order number :MO-26
SOLD OUT


7月8月と単ものから透き通る薄ものになり、9月にはすすき尾花の野分になびく風情の単ものにまた戻るといった「日本のきもの」など森田さんが好きな着物について綴った文章の他、参議院議員に立候補した際のことを綴った随筆なども収録してあります。『もめん随筆』で世に出た森田さんが「もめん」について語った「もめんの魅力」も。濃い紫の函や本体が、重々しく高貴な雰囲気。237p。単行本サイズ。ハードカバー。現在、絶版。

随筆をんなの旅随筆をんなの旅
森田たま
鹿島研究所出版会/昭和42年初版
函背日焼け
order number :M-33
(SOLD OUT)
「このごろはウールといつて一年ぢゆう着てゐるから季節感がなくなつてしまつたけれど、五月の末から六月のはじめへかけて、女の子の着るイギリス製のフランネルいふのは、夏のさきがけといふ情感を持つてゐてよかつた」「フライパンにバターをジュッととかして、ミルクでのばした卵をながしこみ、くるくるとかきまぜてふはつと焼きあげる。つけ合せには玉ねぎの刻んだのを、これもバターで狐いろにいためてくれた。私はこのオムレツが大好きで毎朝たべてもあきなかつた。」・・・『きもの随筆』や『もめん随筆』で知られる森田たまさんが、欧州旅行の印象記を中心にまとめた随筆集。本書の題名を「をんなの・・・」としたのは、「おなじ海外旅行でも、便不便はもとより、男と女では感覚的にも自からな差ががあると考えたから(あとがきより)」だそう。旧仮名遣いの、ふわあとした感じが心地いい一冊です。287p。単行本サイズ。ハードカバー。装幀・筆者(藤田画伯の版画から取ったもの)。現在、絶版。

雲の上の散歩
私のノート叢書・肉筆版
森田たま
ひまわり/昭和30年初版
帙付・Good
order number :M-34
(SOLD OUT)
中原淳一のひまわり社から、限定3000部で出された一冊。ダンボールっぽいカバーを開けるとなかには「雲の上の散歩・森田たま」という手書き文字を印刷したノートが。なんとこの本、すべてのページに森田さんの肉筆をそのまま印刷したすてきな本。内容は森田さんがヨーロッパを旅したときに絵や文章でつけた日記をそっくりそのまま収めたもの。朝食に食べたもの、街のスケッチ、骨董屋で売っていた鍵のこと・・・生き生きした旅の記録は、森田さんと一緒にヨーロッパを旅しているような気分にさせます。「筆者近影」の写真とこの本を出版するにあったっての言葉付。本書のシリアルナンバーは「233」。なんとも贅沢な一冊です。287p。タテ26.3・ヨコ19センチ。ソフトカバー。現在、絶版。

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きもの歳時記
森田たま
読売新聞社/昭和44年初版
ビニールカバー付・Good
order number :MO-27
(SOLD OUT)


森田さんの生前に出た最後の随筆集『きもの歳時記』。最初の著作から本書まで、好きな着物について筆をとってきた森田さん。本書には、森田さんが書いてきたきもの随筆が、1月から12月までの各月に分けられて、ずらり勢ぞろい。「紋付」「縞」「恋ときもの」「襦袢の袖」「紺がすりの話」「絹の美しさ」・・・。日本の季節にとけこんだ着物を愛し、着物と共に歩み、心を砕いてきた森田さんの随筆を、一年を通して心ゆくまで楽しめる一冊です。着物好きにおすすめ。帯には瀬戸内晴美(寂聴)さんの文が載っています。237p。単行本サイズ。ハードカバー。現在、絶版。

wmt-1.jpg(4731 byte)わたしの森田たま
井上靖・吉屋信子・円地文子・網野菊・庄司薫・城夏子・瀬戸内晴美など多数
東京文化センター/昭和47年初版
限定200部・箱背日焼け・Good
order number :M-36
SOLD OUT
随筆家・森田たまが亡くなった後に、限定200部で発行された一冊。井上靖・吉屋信子・円地文子・網野菊・庄司薫・城夏子・瀬戸内晴美など森田さんとお付き合いのあった各界の著名人・親族54名が、在りし日の思い出を綴っています。八千草薫、木村考など文壇以外の顔ぶれも多く、森田さんの交友関係の広さを偲ばせます。藤田嗣治の猫の絵が扉に使われていたり、幼い頃から晩年までの森田さんの写真が口絵16pに渡って収められていたり、本体表紙が布張りだったり、なんとも豪華なつくりも魅力的。271p。タテ20.3・ヨコ13センチ。ソフトカバー。現在、絶版。

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